★放浪虫(2011・神奈川)・目次

※三日目その2

2011年、9月29日。
狂った老婆と別れ、上野駅へと降り立つ俺。
ああ俺よ、祝!初上野上陸。


流石は観光地でもあり都民憩いの地でもあろう上野の玄関口…と言ったところか。
ザッと見ただけでも、東京駅より清潔で上品な雰囲気だ。何となく。

しかしながら、この駅もご多分に漏れず駄々っ広い。
外への出入り口も至る所に在るみたいだ。

つまり、間違えて出ると信じられないような時間と労力を費やすことになるかも知れん…むむ。

案ずるより生むが易し!

『ちょっとスンマセーン!少しお聞きしたいがですけんど…』

自分だけで色々と悩む時間があるくらいだったら、ちゃっちゃと詳しい人に聞いてみるに限る。考えるのは、それから後!
そんな訳で、その辺に居た駅員さんにどちらへ向かえば良いのか尋ねてみた。

『ああ、あの案内板の示す通りに辿っていけば良いですよ』

駅員さんの指差す先には案内板。
そして、それは今、俺が駅員さんに声を掛ける為に通過した通路に設置されていた。
それも割と目立つ感じで。

しまった、全く気付かなかった!
これは恥ずかしいぞ、何かフォローをしなければ…。

『そうですよね!いやぁ、上野動物園はコチラとかって書いてたから、コレがそうかなとは思ったんですよ〜(読むどころか気付いてもいなかった癖に)』

…チーン。俺、上野くんだりまで来てアホ丸出しの巻。

はぁ、みたいな感じでコチラに曖昧な笑顔を向けて軽く会釈する駅員さん。

畜生、上野野郎め!!(THE八つ当たり)

数分後、案内板を頼りに無事、駅より外へと出た俺。
実に良い天気だ、これ以上無い程の観光日和では無いか。

経路通りに上野動物園へと進む。しかし凄いよなぁ、駅から数分歩くだけで動物園があるんだものなぁ。
…いや、勿論、動物園とか上野公園が在るから駅も在るってのは分かってるんだけど、それにしてもアレだ、高知などではまず考えられないのだ。
ずばり一言で端的に言うとね、同じ日本だっつっても、もうコレは文化文明が違うといっても過言ではないね。

だからこそ新鮮で非常に面白い笑

そうしてさらに数分後、上野公園の入り口にて初めて上野公園の正式名称を知った。
そうか、本来は上野"恩賜"公園って言うのか。天皇陛下より賜った公園、なのであろうか。

そうして、さぁ!とうとう遠くに見えてきた、そう、アレが!

アレだ!(だから何だ!)

上野動物園だ!しかもゼット!!

上野動物園、ゼェェェット!!!(←彼がコレを書くためだけに"zoo"の"oo"二つを切って写真を撮りやがったバカでございまーす。)

ウォォ!

あのテレビとかでしか見たことの無かった、あのホラ!
上野動物園の前に居るぞ俺、すっげぇ!

俺、すっげぇ!!(オマエが凄い訳じゃないから、落ち着け)

因みに、上野駅から此処に辿り着くまでに、農家から二回、取引先から数回、電話が掛かってきた。

俺ホットラインは"365日24時間、常に出る"のが自分なりの誇りなのではあるが、流石にちょっとイラついてしまう。
どうも俺はそういうのが直ぐに声色に出るらしく、いつも声色に出した後の相手の反応から『しまった!』と思ってしまうのだが、だがしかし、こんな時くらいは許して欲しい笑

そしてそう、上野動物園内でも勿論、電話は掛かってくるのであった。

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本日のムジクでは久し振りに"ニュージェネレーション"を紹介。

KANA-BOON/ないものねだり

関西を中心に活動していた4ピース・バンド『KANA-BOON』で、『ないものねだり』。

KANA-BOON』は、Voを務める"PVでの前髪に隠れて瞳が見えない彼"こと『谷口鮪』(まぐろて!それだけで俺的には好感度弩アップやないか。刺身、食いてぇ笑 ※この流れで言うとただのカニバル発言じゃねぇか)が、高校からの友人達と結成したバンドであるらしい。

そんな彼、谷口鮪の誕生日は『1990年5月3日』、年齢は23歳であるという事でね、コレ紛れも無く俺らみたいなんにとってはニュージェネレーションな訳で、何せ皆さんお気付きであろうか。

1990年とは、つまり平成2年。

彼は、

彼らは平成生まれなのだ!そりゃ俺も歳を取る筈だ!笑

俺は『B'z』や『BOØWY』、『KATZE』辺りから段々と、音楽…音を楽しむことに目覚めたのだが。

平成生まれの彼らにとっての"音を楽しむことに目覚めた切欠"が何であるのかとか、どんなアーティストの曲が懐メロなんだろうとか、そういった所に思いを馳せるにつけ、この三十路を折り返した中年は何処かワクワクするのである。

これぞ現在中年だからこその楽しみ方ってヤツなのかも知れない。彼らと同年代には決して分からない楽しみ方であろう。
…いや違う!決して負け惜しみとかではないぞ!!(うろたえるな)

まぁね、その代わりに俺にも彼らと同年代の楽しみ方が分からないので、其処はまぁお互い様ってことでね。…だから負け惜しみでは断じ(はいココマデ)

この曲を初めて聴いたのは何時だったか…確か台所で洗い物をしていた時ではなかったか。
聞いていたラジオ番組で流れていたのだ。

中々に勢いがあって、それでいて歌詞はちょっと素直じゃないシニカル寄りな展開で、兎に角、個人的には非常に好みの曲だと思ったのを今でも覚えている。
勿論、此処で紹介するくらいだから今でも好きだ笑

面白いもんだよね。

例えば俺らの世代が『BOØWYに憧れてバンドを始めました!』とかって音楽を演奏するようになって、で、其処からプロになって流行作って…とかって流れの中でさ、そういった経緯でプロになった人らの音楽を聴いた次の世代がさ、『彼らに憧れてバンドを始めました!』なんてね、また音楽を演奏するようになって…。
勿論さ、その間もあるよね。俺らよりちょい上の世代が、ちょい下の世代に、とかってね。どんどんどんどん世代と世代が繋がって、回っていくんだよ。

流行ってやつは実は禍福よろしくさ、糾える縄の如しってやつなのかも知れないね。
そうやって世代と世代が『点と点が線で結ばれたような状態』でさ、クルクル回転しながら前に、または上にさ、進んでいくような感じなのよ。きっと。

こと音楽においては、新しい物を作るってこと自体がさ、もう『そういうこと』なのかも知れない。
全く新しい物を生み出すなんてことはもうさ、起こりから経緯、そして現在に至るまでの流れを考えればさ、もう既に『不条理』とすら言える事なんだと思う。

そういった意味で頭打ちなこの日本の音楽界でも、こうやって俺らにとっての次世代、次々世代と新しいうねりが悶え猛りながらその叫び声を歌としてリリースし続けてる訳で、やっぱり『世代が違う』なんて頭ごなしに否定なんかせず聴いていきたい。

勿論、民謡や歌謡曲も今のようにどんどん聴いていきたい笑

そして、相も変わらず脱線している訳で、何でこんな話しだしたのかすら思い出せないのである。

が、まぁ思い出せないなら出せないでね、別に良いか笑

以上、亮の若者頑張れのコーナーでしたー!(違う、ああいや若者は頑張れ。其処は違わない。)

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修学旅行なのか何なのか、学生の集団がそこかしこに見られる。
ガチャガチャとうるさいのは非常に苦手なのだが、場所が場所なのでまぁ仕方ないか。
こちらは一人だし、考えようによっちゃあアレか、人っ子一人居ないシーンとした動物園で一人静かに檻の中の動物を眺めては薄ら微笑むヒゲのオッサンなんて状況よりは遥かにマシか。

…いやマシって言うかよ、その全米が思わず涙しそうな悲しい状況はどうしたことよ。自分で書いててゾッとしたわ笑

そんな訳で、人が沢山居て程よく雑音もある一人旅には非常に有り難く心強い状況の中(おい)、俺はとうとうあの上野動物園への入園を果たした。

さぁ、パンダを眺めるぞ!…と、その前に。

入園して直ぐの所に喫煙所を発見、まずは一服である。
煙草に火をつけ、煙を深く吸い込む。手にはマルメンこと『マールボロ・メンソール』。

大震災の影響で、ラクダのパッケージがとても好きであったお気に入り銘柄の『キャメル・メンソ−ル(この銘柄のメンソールはフィルターがココナッツの香りで、ソレも気に入っていた)』が製造中止となってしまい、かといって以前に吸っていた銘柄(ラークやセブンスター)に戻るのも面白くなかったので選んだのが、このマルメンだったのだ。

…確か。いやでもアレ?ラークのロングピースだったような気も…笑

因みにウチの親父は昔、マイルドセブンFXという銘柄を吸っていたのだが、コレがまた煙が臭ぇし、しかも隠れて何度か吸ったのだが、何か痺れる様な苦さを感じたんよねアレね。

いやぁ…ほんっと苦かったなぁ…シミジミ

以上、今はもう煙草を止めた俺の"吸っていた頃"の思い出話であった。勿論、実際に上野動物園で一服してる時にこのような事など一切考えていない。
何気なく、今(h25.6.25)ふと思い立って書いてみただけである笑

さて、此処に来てウンザリしている俺が居る。

何にウンザリしているのかって?
そりゃアレだ、この喫煙所より見える、あの長蛇の列!ありゃ絶対にパンダの檻だ。拡声器持ったオッサンが一列に並べー一列に並べー、て繰り返してる。
絶対にパンダ観る為の行列だぜアレ間違いなくさ、だってオマエ、アレだけ並んでさ、さぁ檻だってタイミングで中を観たら猿がチンチン弄ってるだけでしたー!とかってなったら絶対起こるよ暴動が。

でも暴動は起こってない、そうつまりアレは絶対にパンダの檻だってことなんだ。(そ、そうなのか?)

…うわ辛ぇ!どうしよう辛ぇぇ!

此処に来て並ばないといけないのか、辛ぇー(土佐の弩イラレは並ぶのが何より苦手)

と、突然ジャケットのポケットの中で鳴動し始める携帯電話。またか!また仕事の電話か!!
若干イライラしながら携帯を取り出し、その画面を見てみると…其処には、と或る生産者の名前が。
最近とんと音沙汰が無く、仕事のみでの付き合いながら俺なりにその身を案じていた人である。

『…えぇ、えぇはい、いやもうこっちは全然大丈夫ですからね、兎に角ね、無理せずにご自愛いただいてですね、その上でまたご出品いただければ、はい、それはもう、勿論、そういった事情がありましたのならそれはもう仕方が有りませんので、えぇ、お気になさらず、はい、お大事にしてくださいね。それでは。』

何でも、或る日突然に脳卒中で倒れたらしいその生産者は、北海道の或る病院にて手術を受け(何故北海道なのかは分からなかったが、会話のニュアンス的に名医っぽい人でも居たらしい)、辛くも一命を取りとめた。
そうして、暫く入院生活を余儀なくされていたが、晴れて退院出来そうなので、また出品をさせて貰いたいとのことであった。

…多少、障害は残っているらしいが、其処は息子に手伝ってもらって頑張ると…いやホラ、結果的に考えればさ、そりゃ不幸中の幸いと言えるのかも知れないけどさ、でもオマエ、これからパンダ見るってのにさ、その生産者の"在りし日"の元気な姿とか思い返しちゃうとさ…何て言うか、すんげぇ重てぇ笑

あー、もう、畜生。パンダどころじゃねぇよ本当によ。
いい加減にしてくれってんだよ。こんな気持ちで楽しめるもんかよ。

『はい、ゆっくり進んでください!列に並んで、ゆっくり進んでください!押さないでください!』

…うるせぇなぁ、オッサン。
もうアレよ、こちとらパンダどころじゃねぇんだよ本当によ。(ならば何故、今ここに並んでいる)

ん…。

…。

パ、パンダだぞ!やっぱり、スッゲェぇぇ!(唇が乾く間も無くこの男は本当に)

何がスゲェって、アレよ、ホラ!
超小汚ぇぇぇぇぇぇぇ!!!ドンドンドン(心の中で机を叩いている音)

しかも何よ、その黄昏てる背中!おっさんかよオマエおっさんかよ!

パンダ!おっさん説!!!ドンドンドンドン(おちつけ)

パンダ!おっさん説!!!ドンドンドンドン(二回言うほど重要ではない)

そうして、一瞬だけ心が沈んだものの、パンダの余りのおっさん感および小汚さにそのテンションが一気に復調した俺は、ここからズリズリと上野動物園を進む。

まずは猛禽類!コレは多分ハヤブサとか、何かソッチ系。(この旅行記のテーマは握って何ぼの出たとこ勝負となっております。ご了承ください。)
この辺は本当にフォルムが格好良いよね。こういうのを飼いならして、そうして肩に乗っけてウォーキングとかしたいね。
んで、禿げたオッサンを見つける度に『ゴー!アンド、デストロイ!!』とかってハゲ頭目掛けて放すんだ。

イイネー(よかねぇだろ)

左がチョウゲンボウ、右がツミと読むらしい。

雀鷹と書いてツミ…コレは知らないと書けないタイプの漢字やね。
漢字検定の一級ともなるとこういう漢字が出てくるらしいけど、もう其処まで行くと特殊読みの単語は暗記して無いと勝機すら無いんだろうねぇ笑

あ、二羽とも中々可愛い格好良いな鳥だったが、勿論、画像は、無い。
俺ホラ、本当にイラレでさ、歩きながら写真撮るからブレちゃうんだよね。(この旅行記のテーマは握って何ぼの出たとこ勝負となっております。ご了承ください。2)