★放浪虫(2011・神奈川)・目次

※三日目その6

2011年、9月29日。

ワンさんからのメールの内容、それは…。


『まだ上野に居るんですか?それなら秋葉原辺りで飯でも食いません?』

といった、そう、つまりお昼のお誘いである。

な、何ぃぃ!!

言うに事欠いて、事欠いて、あ、秋葉原だとコノヤロウ!
あの三途のカフェで冥土がオタクに塩をぶつけて土俵入りとかする所か!(違います)
隊長さんが仕事で使うネジとか買ったりする所か!!(それは正解です)

何てね笑

本当はどちらにしろ秋葉原には一度寄るだけ寄ってみるかと思っていたので、前段で寄るべきか寄らざるべきか如何にも逡巡してそうに書いてはみたものの、実は『寄るべき』で心の一番アッサリ勝負あり!だったのである。

心の木村庄之助『只今の決まり手ぇ〜、あ、願ったりぃ〜、叶ったりぃ〜…願ったりぃ〜、叶ったりぃ〜』

そんな訳で、すぐさま『願ったり叶ったり!』といった旨のメールを返信する。

だがしかし、いやちょっと待てよ。時刻はもうじき正午である。

しかして俺の今居る場所と言えば、ジャッキーチェンがまだ一重瞼だった頃の名作『少林寺木人拳』に登場した、

何かこんなのにそっくりなモノが左右にそびえ立っている出口こと、上野動物園『弁天門』前である。
ぶっちゃけ、俺はちゃんと行けるのか?今、此処から、速やかに秋葉原まで。
本日は仕事をしているであろうワンさんの貴重な昼休み中にちゃんと合流して、その上で昼飯を食いに行ける時間はあるだろうか?

一寸心配になったので、
『いやぁ今、上野動物園で迷ってますんで、ちょっと秋葉原に到着するの正午を越すかも知れません〜』
といった内容のメールを続けて送ってみる。

数分後、『あ、近いんで合わせますよ。』とのお返事。そんな訳で正午0時5分頃に秋葉原駅の中央改札口にて待ち合わせることとなった。

…重ね重ね、辿り着けるのか俺!!などと悩んでいる暇も無いので笑、上野動物園を後に、今度は一路、上野駅へと向かう。
なんだかんだで、いざ動物園より外に出てみれば案内板も出ているし、向かうべき方向に迷うことも無かった。

途中で上野の森美術館やらのある広場でバグパイプ演奏してたオッサンに拍手して空き缶に100円入れたりしつつ(暇が無い割には余裕だなオイ)、程なくして『不忍口』だか『山下口』だかから上野駅へと入った。

中々に良い所だったので出来る事ならまた来たいなぁなんて思いながらも、本日は一先ずさらば。上野。

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HIGHWAY スッ飛ばせ
ご機嫌な旅路へ
口ずさむんだOLD ROCK & ROLL BAND
懐かしきあのBGM

ハナレグミ/うららかSUN

知る人ぞ知る日本のファンクバンド『SUPER BUTTER DOG』でボーカルを務めた『永積タカシ』。そのソロユニットが『ハナレグミ』である。
ユニット名の由来は彼の両の目が離れているから、という事らしい。

因みに、彼はこのハナレグミの他にも、俺大好きな『クラムボン』のボーカル『原田郁子』や『Polaris』のボーカル『オオヤユウスケ』と『ohana』というバンドとしても活動している。
メンバーそれぞれの頭文字を一文字ずつ取ってオ、ハ、ナだそうだ。そのどれもの楽曲が好きな俺からすると、何とも豪華な面子である笑

もとい、今回のムジクではそんな永積のソロユニット・ハナレグミの楽曲より、『うららかSUN』を皆さんに紹介したい。

てか、もうこの曲の良さは兎に角、聴いて貰って何ぼの話であって、別段ここで言葉を尽くすような物でもないっちゃあ、ない。

それこそ、百"文"は一"聴"にしかず。
…それこそっつっても、そんな言葉無いんだけど、まぁ意味する所はニュアンスでそれぞれ汲み取っちゃって笑

旅にピッタリの、良い曲でしょ?笑


旅の準備は、alright…

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山手線にて上野駅より実に二駅隣、秋葉原駅

どうにも、高知なんぞの田舎に住んでいると、『電気街』『オタク』『メイド喫茶』『精液臭い』『AKB48』『童貞向け風俗街』など、そのイメージばかりが先行しがちであるが(どんなイメージだよ)、いざ降り立った駅はメント打ちっ放しの中々に無骨な雰囲気である。

空気も意外と綺麗な感じだ、雨の日の金木犀臭なんぞもしないし…うん、臭くない。(だから、どんなイメージだよ)

さて、待ち合わせ時間を微妙に過ぎているので、取り敢えずまずはワンさんとの合流を目指す。
中央改札口…、中央改札口…と、居た。ワンさん発見!である。

『亮さんコッチ、コッチ!』とばかりに手を挙げたワンさんは、一昨日とは打って変わって白いカッターにネクタイがバッチリと決まった戦闘服仕様だ。
そんなワンさんに俺も『いやー、どうも二日ぶりです。飯をどうしようかって悩んでた所だったので本当に助かりました笑』と、計らずも降って湧いたワンさんのご好意から来る幸運に本音を漏らしつつも、挨拶もそこそこに早速、まずは腰を落ち着けましょうと移動を始める二人。

俺『いやぁ、スミマセンね、貴重な昼休みを俺なんぞとご一緒していただいて。』

ワンさん『ああ、大丈夫ですよ。今日は先生が出張で居ませんのでね、何とでもなりますから笑』

…流石、その辺りは抜かりも無かったようである笑
それならばコチラも一先ずは気兼ねなく楽しめるという事で、幾分歩く速度を緩めつつ、秋葉原の話などをしてみる。

俺『しかし、意外ですね。思ったよりも全然健全じゃないですか秋葉原。町並みも、歩く人々も。変な言い方ですけどちゃんとしてますよね笑』

ワンさん『ああ、それは"コッチ側"だからですよ。駅から言えば西と東で大分、街の雰囲気が変わりましてね。コッチ側は主にオフィス街となってるんです。隊長が仕事で使う資材買いに来たりしてるのもコッチ側ですよ。』

俺『ああ、どうりで空気が綺麗だと思った笑』

ワンさん『…笑。亮さんの期待してる"秋葉原"はね、駅の電気街口から出たところより西側に広がるエリアです。メイド喫茶とか行くんですか?』

俺『ええ、まぁ、一人でも入れそうな雰囲気なら折角なんで観光を兼ねて寄ってはみたいんですけどね笑』

ワンさん『昼飯食った後、そちらの方まで送りますよ…と、此処です。以前、先生に連れて来て貰ったんですが、此処、美味いんですよ。』

ワンさんに案内して貰った店は、小さいながらも雰囲気の良い、何処か懐かしさも感じる"昔ながらの洋食屋さん"といった佇まいの店であった。

カランコローン、と扉を開けて中に入る。
中は想像通り、お世辞にも広いとは言えない。カウンター席が幾つかと、テーブル席が4、5台。
テーブルとテーブルの間に間仕切りがあり、コッチが喫煙、向こうが禁煙…かな?

ワンさんに断りを入れた上で喫煙席に腰を落ち着け、『いらっしゃいませ。』と感じの良い店員さん(マスターの奥さんなのかな?)が出してくれた水に喉を潤しつつメニューを捲ってみる。

…。

これは美味そうだ!!
思えば朝から飲まず食わずで歩き回ったという事もあり、もういっその事、『メニューの此処から(1ページ目から)此処まで(3ページ目まで)を、順番に持ってきてちょうだいな。』的な注文をしたい気持ちに駆られるも、そんな財力は何処にも無かったので仕方なく諦める俺。

ワンさんはと言えば、サラッとオーダーを通してる。そんな訳で、此処はこの店の経験者であるワンさんに肖って俺も似たようなセットを頼んだ。
あと、ワインを飲んだかな?どうだったかな?笑

そうして、何だかんだあーだこーだとワンさんと他愛無くも楽しい会話を繰り広げること数分、『はい、お待たせしましたー。』と先ほどの感じの良い店員さんが料理を運んできてくれた。
それはそうだ、店員さんは彼女しか居ない。思うに、彼女は(そこはそんな広げなくても良いから)、はい。(素直じゃん)

そんな訳で俺が頼んだのはこちら!
どんなメニュー名だったかは忘れたが、厚切りポークチョップに手捏ねハンバーグのデミグラスソース掛けにライスという、何と言うかこれぞ俺の中での『ディスイズ町の洋食屋さん!』なメニューである。

結論から言うと、コレは美味かった。味もボリュームも文句無し。
正直、何度か通って他のメニューも食べてみたいと思える程であった。

ご馳走様でした。

因みにワンさんは鰤カマをオカズに蒸かしバナナを食べていました。食べていましたよ。(悪意ある大嘘)