★放浪虫(2011・神奈川)・目次

※二日目その4

2011年、9月28日。

とうとう江ノ島へと入った俺達。

時刻にして正午前。
当初の予定としては昼時の込み合う時間を外して11時くらいに海鮮丼に舌鼓を打つ手筈であったのに、何だかんだで正午前。

まぁでも、コレはコレで健全だわな。昼飯時に昼飯を食う、うん健全だ。
だからN岡、許してやる。左遷されたし。←いい加減に許してやれよ


さぁ、此処が江ノ島であるぞ皆様!とくとご覧じろ!

良いねぇ、このアイアム観光地!な自己主張具合、コレこそ観光地だ。

るるぶ師によると、この汚ったねぇ年季の入った鳥居を潜って坂道を上ってしまうと飯処が本当に無さそうな感じであった(実際には在るには在った)ので、高い所にドンドンと上りたくなる病(=バカって煩いよい。しかも高所恐怖症って、其処は本当だけども煩いよい笑)であるこの俺も、此処はグッと我慢の子。

鳥居は潜らず、左手に続いている飯処ストリート的な道へと歩を進める。

…。

???1『ギィヤァァァァァァ!!!!ビゲェェェェェグェヴァヴォォォォォォォ!!』
???2『アヴァァァァァダズゲデェェェェ!ダ!ズ!ゲ!デェェェェェ!!!』
???3『ピカ!ピカァァァァァ!ピヵチュウゥゥゥ!!ブリブリブリブリブリ』

と、其処で観光地特有の緩い空気を劈く汚ったねぇ悲鳴が!

何事だ!と声のした方向を見ると、其処には汚ったねぇ悲鳴を上げる汚ったねぇオバンが!

黒い三連星みたいな動きで逃げ惑う汚いオバンズが!

汚ったねぇ悲鳴を上げる汚//←もういい分かったから

呼び込みの兄さん『危ないッス!!皆、逃げてくださいッス!!危ないッス!!!』

コレは何なんだ、何の騒ぎだ。ちょっと尋常では無いぞ…通り魔か何かか!気持ち妹を庇う様に前に出ながら(そういうアピールは良いって←なにをう!)辺りを伺う。

…。

辺りを伺うのだが、何かおかしい。それこそ十人以上の観光客や呼び込みやどっかの店員なんかが、大げさでなくワーワーと右へ左へ逃げ惑っているのだが、肝心の暴徒の姿が何処にも見えない。

コイツラ、何で騒いでんの?そんな疑問で頭が一杯になる。

…はっ!?

もしやコレ、バカには見えない暴徒!?って、誰がバカじゃ!俺か!そうか!って、やっかましゃあ!!!←おまえがな

-*-*-*-*-*-*-

この突破感は凄い。これぞロックである、と言わざるを得ない。

この際…この際だ、メリケンだのエウロペだの、その辺の転がり続ける石の話なんてどうでも良いんだ。
寧ろその辺の小難しい話は全然分かりもしないし、そもそもの前提としての興味がだ、微塵も無いのだ!

ただ、そんな俺が。これぞジパングロックなのだ!と、言わざるを得ないのだ。
はい本日のムジクはね、そんな曲。

真心ブラザーズ/STONE

…。

スミマセンでした笑

でも凄いでしょ?この曲。
このワッショイワッショイな感じ、何て言うか、その"突破感"の凄さといったら、曲の節々から滲み出てる訳である笑

歌いたいことは一つだけ。
尿管結石のビフォアからアフターに掛けて生まれた、その感動に居ても立っても居られなくなって取り敢えず歌ってみました的なね、徹頭徹尾そういった歌なのだ。

『ラッキー!!!!』という雄叫びから『俺のチンポから石が出た!』の歌い出しに続いていく、この突破感!
もう終わった、この時点で歌いたかったことの80%は終わったんだ。

まさしく、チンポから結石が小便器に向かってロックンロール、である。しかも三つも笑

しかもまた、初っ端で結論をダン!と出した後に、それに対する抑えきれない想いをツラツラと歌に乗せているわけであるが、その歌詞がコレである。

真心ブラザーズ/STONE ※歌詞

チンポ石チンポ石チンポ、チンポ石チンポ石チンポ!

なんだろう、この無茶苦茶な開放感。生を実感するという事は、つまりこういう事なのかも知れない。
4分2秒の『オーホゥイェー』なんて、余りの『ヤレヤレだぜ』感に俺までチンポから石が出そうであった。

まぁ兎に角だ。その辺の糞みてぇな自称糞良識人には下っ品な歌に聞こえるかも知れんがね、俺にとってはこれ以上無いといっても決して言い過ぎではない日本の誇るロックンロールでは無いだろうかと、そう思うのだ。

チンポから石が飛び出て激痛から開放されて、ああ世界ってこんなにも素晴らしい!
俺バンザイ!チンポから石が飛び出た俺バンザイ!お前らもバンザイ!

端的に言えば、何のことは無い。その程度の歌だ。
しかしながら、尿管結石はそれはもう物凄く痛いらしいのだ、俺は経験した事が無いが。
だからこそ、本当に幸せだったんだろう。

物凄い安い幸福感ではある。しかし、コレほどストレートに清々しい幸福感も無いなと、俺はそんな風に思うのだ笑

これぞロックンロールでしょ!←いや…それは…

-*-*-*-*-*-*-

このまま此処に居ても埒が明かないので、近くに逃げてきた出店の兄さんに何事か尋ねてみる。

出店の兄さん『いやハチっす!スズメバチっす!!』

…。

…は?

いやスズメバチ、いや、え?
だってアンタら、此処って江ノ島でしょ?
今は9月でしょ?

いや居てもおかしくは無いでしょ、この環境なら!
まぁ確かに刺されたら危ないのは間違いないが、それにしたって何だこのお祭り騒ぎは。

声高にギャーギャー叫びながら黒い髪を振り乱し香水の匂いをプンプンさせながら左へ右へ…こいつ等は逃げたいのか刺されたいのか!
スズメバチを誘ってるようにしか見えん!なんか腹立って来たぞ笑

都会から来たにしたって余りにも物を知らなさ過ぎるだろうが。

『ギャァァァァァァァァ!!!キタ、お兄、キタ!!キタ!!ホラ、ホラ!』

突然、妹が中空を指差し奇声をあげる。…そうだ、この人も虫が大の苦手であったのだ。
しかしながら実際、本当にスズメバチだと危ないっちゃ危ないので避ける為にも妹が指差した先を注視する。

…。

アシナガバチだし。
飛行速度もスズメバチに比べれば全然遅い。

そりゃそうだよ、アレは、

ア シ ナ ガ バ チ だ し !

同じスズメバチ科ではあるものの攻撃性だってスズメバチに比べれば全然低い、此方から刺激さえしなければまず刺されない類のハチだ。

オバン1『ギィヤァァァァァァ!!!!ビゲェェェェェグェヴァヴォォォォォォォ!!』

オバン2『アヴァァァァァダズゲデェェェェ!ダ!ズ!ゲ!デェェェェェ!!!』

オバン3『ピカ!ピカァァァァァ!ピヵチュウゥゥゥ!!ブリブリブリブリブリ』

…刺激さえ、しなければ…ねぇ?苦笑

そもそもハチなんてのは放っておくのが一番良いのだ。放置してれば去って行くのだから。
しかしながら、この騒ぎでは満足に昼飯も食えない。
何せ本当に、信じられないことかも知れないが、飯を食おうと思っていた店の店員まで逃げている様な有様なのだ。

そんな訳なので、申し訳ないと思いつつ、叩き潰した。