☆平成22年8月30日

『スミマセン、●時に予約しちょった亮言いますけんど、もう構んですかね?』

開口一番、店の入り口にいたおばさんチャイニーズに声を掛ける。


『イイヨー?オフタリサマ、ネー?』

…oh!Air in Chinese!

軽い。軽過ぎる。まるでそれは、口の中で柔らかく溶け広がる、かの名菓『ぬ〜ぼ〜』の最中に挟まれたチョコさながらに。(久し振りに食いたい)

仰々しい受付には不似合いな程の軽さだ。
敢えて言おう、○○店さん…

彼 女 は ミ ス キ ャ ス ト だ !!

脳味噌の血管に空気をかんでしまっていると思われるそのおばさんチャイニーズが『オキャクサン、ネー?』と奥に声を掛けると、もう少し"それらしい"おっさんチャイニーズが登場。

『コチラ、ドゾー?』

どうでもいいが、何故、先ほどから俺は質問をされているのだろう。
そして、何と言うか。○○店さん…

全 体 的 に ミ ス キ ャ ス ト だ !!

折角、妹と二人で久し振りの再会を祝す為に高価な中華料理屋に来たと言うのに、何だこの軽さは。
寧ろ、此処だけが特別という訳では無く全体的にこんななのか。…いや、こんななのだろう。チャイニーズだし。

そうして席に通される二人。先客は二組。おばさん二人組と、もう一組。

ああ、その…ヤ●ザ屋さん?そして、その"L' Amant"?
…取り敢えず、まぁ、その、取り敢えずである、どちらにしろ、その、

見 な か っ た 事 に し た !!

席に着くと、早速メニューと御絞りが運ばれてきた。まずは酒、まずは酒…とばかりに黒霧島をオーダー。我ながら、此処まで来るともうアル中だなと思った。

因みに妹は酒などには目もくれずにウーロン茶をオーダー。全く…一体、誰に似たのだろうか(俺で無い事は確かですね!そうですね!)。

改めて料理のページを開くと…と、おお!凄いぞ、コレは凄い!
この豪華な中華料理の数々…コレは…コレはまさしくゴチバトルの世界だ!

…!(豆球点灯)

『そうや、おい、今からゴチバトルやらんかや!』

『アホか!やるか!てか値段モロバレやし!』

た、確 か に !

そもそも、実の妹と二人でタイマンゴチバトルした所で何の笑い所も無いので、協議の結果、此処は取り敢えず『ゴチバトル云々の件は一切言っていない』体にて話を進める事となった。カット、カットォ!という大人の事情である。

それでは、俺達が舌鼓を打ち鳴らした豪華な料理の数々をとくとご覧じろ!




コラーゲンたっぷり、鱶の鰭の姿煮。正直、味はイマイチ笑
鱶の鰭は崩してあんかけ炒飯のあんかけの具、とかが一番美味いかも分からん。インパクトのみでの勝負。
実際、こうやって改めて見ても、味は兎も角、絵面としてはかなりのものである笑



蟹と卵のスープ。薬膳的な味で、個人的にはかなり美味かった。
香草が総じて苦手な妹としては、一体どうだったのだろう。美味いとは言っていたが。



北京家鴨。コレは本当に美味い。コレはもう本当に美味い。大事な事なので二回言いましたよ。
ただ、4枚で千円を超える笑
どうせ高価なら肉も食いたい、心の底からそう思った。



今回の一番のハズレ笑、エビ団子。
兎に角、エビ肉100%なのかどうなのか、兎に角、固いんだコレ。噛んだ感じがグリッグリ。
まぁでも、酒のアテとしては中々と良かった。しかし次からはコレを頼むくらいなら絶対にエビチリを頼む。



何とかと何とかをXO醤で何とかした類の炒飯。基本鶏頭であるもんで、読んでる皆さんに対しては、もう、何ていうか…スマン笑
コレは美味かった。妹の胃袋が着いてこれるならもう一皿行きたいくらいに美味かった。
中華料理は何かと言うと鱶の鰭などのビジュアルに押されがちだが、地味にこういう料理が一番美味かったりする…気がする。

あと、写真には残していないが酒のアテとして取った『おかずの三種盛り』みたいのも結構美味かった。
ピータンが特に美味かったのだが、その不気味ヴィジュアルは妹の食欲を削ぐには充分過ぎるほどの威力を発揮したようである。

美味い料理と酒を楽しみながら、気心の知れた妹とさんざっぱら会話の華を咲かし、気付けば入店から2時間を過ぎようとしていた。
妹は中華街より電車で30分程掛かる土地に住んでいると言う事も有り、俺の普段の"飲み歩き、食い倒れ"からすると少々早過ぎる時間帯では有ったが、チャッチャと支払いを済ませて店を出た。

妹の同居人(ルームシェアしている女性。俺より随分と年上らしい。)へのお土産など買いつつ(妹の場合はクロネコ大明神に祈願する訳ではないので帰る直前が良いだろうと言う話になっていたのだ。)、みなとみらい線・元町中華街駅へゆっくりと歩を進める。

正直、日中の茹だるような暑さの中ずっと歩きまわったので、身体は疲労の極致に達していた。しかしながら、それでも夜の中華街は、そんな疲れを忘れさせるには充分な程に、昼間とはまた違った雰囲気を醸し出していた。

そうして電車に揺られ、俺が宿をとっている馬車道駅へ到着したのは8時過ぎ。
ちゃんと帰れるかどうか少し心配であったが、それを言葉に出すとまず間違いなく怒られるので笑、軽く手を振り、言葉少なに『まぁ、またにゃ。元気で。』『おう!』とだけ。

疲れ切った身体を引きづるように、ホテルへと向かう。

横目には、夜の横浜にちょっと鬱陶しいくらいその存在を誇示しているランドマークタワー

Zeljko Kerleta/From Island to Island

耳元より脳内へと鳴り響き始めるのは『Zeljko Kerleta』より『From Island to Island』。
このタイミングで、横浜の熱帯夜にゼルコ・ケルリータ…良く分かっているじゃないか俺ポッド。

『Zeljko Kerleta』はユーゴスラビア出身イギリス在住のアーティストで、なんと本業は建築家と言う事らしい笑
穏やかにただ前へと歩いていくかの様な、ゆっくりと、しかししっかりとした足取りのリズムに、少し強めに吹いては凪ぐ風の様なサックス。

湿度が下がり幾分か過ごし易くなった秋の夜長を思わせる。

この時の横浜の夜は蒸し暑く、とても過ごし易いとは言えない物ではあったが、この曲を聴きながら夜に浮かぶランドマークタワーを眺めていると、不思議と爽やかな気持ちになれた。

何となく楽しくなり、もう一軒ぐらい呑みに行ってやろうとホテルへ帰る。
というのも、ホテルの一階には確か居酒屋があった筈なのだ。

そうしてものの5分足らずで馬車道駅からホテルへと到着…うん、在る。
何とかの花?とか言う名前の居酒屋であった。様な、気が、しないでもない。

そのまま勢いで突入しても良かったのだが、流石に汗と疲労で色々と凄い事になっていたので、まずは一旦、部屋に戻ってシャワーを浴び、ゆっくり一服する事にした。

2階のカウンターにて鍵を受け取り、部屋に戻る。
汗でビダッと身体に貼り付いた服をはぎ取り、ユニットバスへと飛び込む。

シャワーが、気持ち…気持ち良い…どころか、逆にむちゃくちゃ滲みるぞコレ!痛い!痛い!

滲みる部分に目をやると、そこには真っ赤に腫れ上がった太ももが…股ズレだコレ。少しフレア気味のジーンズを穿いていたのが祟ったか。

しかも、それよりさらに下に目をやると、足のかかとに豆が出来て潰れてまた豆になっていた。ズタボロじゃねぇか俺。

風呂から上がり、取り敢えず下着をお湯で洗い、部屋の中に干す。
替えの下着は余分に持って来てはいたのだが、まぁ、何が起こるか分からないし、備えあれば憂いなしだ。かといって、コインランドリーに金を突っ込むのも馬鹿らしいし。

そんな長期間でも無い男の一人旅、この位が丁度良い"備え"だろう。

そうして血塗れの靴下をコンビニ袋に突っ込み、椅子に深く腰を掛けて煙草に火を付ける…。

…と、ふと目に入る『ノート型パソコン貸します』の文字。

こ、コレだ!これならT&Rも出来るじゃないか!1ムジクの更新だって出来る!
思い付いたが吉日、早速カウンターに赴きノート型パソコンを借りる。そうなのだ、この日は丁度T&R(ブログ版)の収録日で有ったのだ。

居酒屋に行くのを止めて急きょ本部長にスクランブル発動、神奈川よりT&Rの収録を行う。内容自体は、別に、神奈川から行った割には、その…エヘヘ

収録後、余りの疲れと酔いから、何時の間にか眠りに落ちていた。