☆平成22年8月30日

妹と他愛もない話や、割と真剣な話などをしつつ、気付けばお互いのグラスも空になっていたので、横浜散策に戻る事にする。

外は相変わらず暑い。


そうして海の見える丘公園へと歩いている道すがら、人形の家という建物を発見。
何でも和洋様々な人形を展示している一種の博物館らしい。

ちょっと興味を引かれ、妹に『おい、寄ってみるかや。』と声を掛けるも、返ってきたのは『えー、人形とかキモいやん。』という言葉。にべも無し。
正直、俺自身もそれほど興味は無かったので、そう言う事なら先を急ぐか…と歩を進めかけたその時、『ちょ、お兄!!ヤバいコレ、ヤバいって!!人形の館ヤバい!!』と先程とは打って変わっての食いつき様。

『どいた?』とばかりに彼女の視線の先に目をやると、其処には『企画展・シルバニアファミリー25周年歴史展〜よこはま物語 2010夏〜』という文字。

おっと出た…バブちゃんである。バブちゃん…それは実家で主に親父が口にしていた『シルバニアファミリー』の別称。
一番最初に買って貰った動物の赤ちゃんの人形を、赤ちゃんが故に"バブちゃん"と称したのがそもそもの起こりだと思われる。

それはもう、妹…特にこの長女の方が幼少時代にハマりにハマっていた存在であり、こうなると人形の家に寄らない訳にもいかないか。

急きょ取って返し、人形の家に入る二人。意外と綺麗で中々好感触な建物だ。
…そういえば、この入口に在るブロンズ像が一度、低能極まりない酔っ払いに壊されたというニュースを見た様な気がする。何と言うか、あの時は全く『別の世界の出来事』として捉えていたのだが、こうして目の前に立ってみると中々に感慨深い。
あと、そんなくだらん事をする犯人は全裸に剥いて鎖に繋ぎ、山下公園のゴミ拾いにでも従事させればいいと思う。見せしめだ、見せしめ。

もとい、入場券を受け付けにて購入し、いよいよ展示スペースへ足を踏み入れる。

まず最初に足を踏み入れた部屋では、世界中さまざまな地域の人形がズラッとショーケースに並んでいた。
シルバニアじゃねぇのかよ』と明らかに落胆している妹を尻目に、それぞれの地域の文化に裏打ちされた様々な形の人形を楽しむ俺。
大きさ、デザイン、方向性…国毎に実に様々なモノが有り、実に興味深い。

何だかんだで楽しんでいる妹と共に『マトリョーシカの顔が中に行くほど雑過ぎる』『ピニャータが無い』などと話をしながら、ルートに沿って二階へと昇った。

そうしてフランス人形と和製人形のコーナーを通り抜け、さぁ、とうとう三階。

出たコレ、会場で私と一緒に写真を撮ろうよ!的なアレ。

『…おい、写真撮っちゃるきよ、おまん入りや。』

『むっちゃ可愛いけども、それは断る。お兄こそ入りや〜。』

『それこそ断る。』

…。
仕方が無いので等身大の人形だけ撮ってみる。うむ、いまいち。

奥に行くと、360°シルバニアで埋め尽くされた空間が広がっていた。
見るからにテンションが、それこそ『仮装大賞でチビッ子が下手糞ながらも一生懸命演技をした後の欣ちゃんの気持ち悪いテンションの上がり方と、それに比例して伸びてゆく合格可否ゲージ』ほどに鰻登りしてゆく妹。ああいう時の欣ちゃんは本当に気持ち悪いと思う。

『自分のデジカメを持って来てないき、ちょっと貸し。』とデジカメを取り上げられたので、シャッターを切りまくっている妹の横で昔を懐かしみつつ色々と眺めてみる。

お、

『おい、おまんコレ持って無かったかね?』

『コレは持って無い。』

あ、

『おお、コレ!コレ確か持っちょったでね?』

『持っちょったのはコッチ。』

おあ、

『あ、コレがアレや、最初に買うてもうたヤツや!』

『それは最近の型のヤツやね。アタシが買うてもうたがは随分初期のヤツ。』

…やりました!

スポンジ・ブレイン、本領発揮で御座います!!
自分自身、一体何を懐かしがっていたのか良く分からない。

コレでも小さい頃は良く段ボールで盾と県と鎧を作って、この兎や猫達に装備させては『男おままごと』に興じていたのだが。ズバッ!グワァ!や〜ら〜れ〜た〜、みたいな。



部屋の一区画に設置されたジオラマを撮り続けている妹、その隣で妹よりもさらに狂ったようにシャッターを切り続けている妙齢の女性…。
その必死な形相と、このジオラマの何ともミスマッチな対比が、傍で見てて面白かった。

シルバニアファミリーのスペースを出た後、途中でおみやげコーナーを冷やかし、良い具合に時間も潰した所で外に出る。
少し陽が傾き、多少は暑さも和らいだか。人形の家から海が見える公園まで遊歩道があるみたいなので、其処を歩いてみる事にした。

Cornershop/Brimful Of Asha (Norman Cook Remix)

日中の茹だる様な暑さの中をひたすら歩いてきたという事も有り、この時点でかなり疲れてはいたのだが、何とも言えない"汗をかく心地良さ"、"生ぬるい海よりの風"にテンションは依然高く、その状態を音に例えるとすれば、まさしく『Cornershop』の『Brimful Of Asha』がしっくりとくる。

今回紹介するのは、『Fatboy Slim』こと『Norman Cook』のリミックス.verだ。

『Cornershop』は以前ムジクにて紹介した『Clinton』のメンバーである『Tjinder Singh』と『Ben Ayres』の別名義ユニット。
時系列を踏まえて述べれば、コーナーショップ在りきのクリントン、と言う事になるらしい。

曲調としては『Vo有りver』がコーナーショップ、『Vo無しver』がクリントンと言った感じであり、逆手に取って言えば、少なくとも俺なんかは『ソレ位の違いしか』分からない。

このチープで明るくちょっと投げっ放しなノリ、相変わらず堪らないのである。