☆平成22年8月31日

建長寺への道すがらにていろはすを購入し、水分補給をしつつ歩を進める。


汗が止まらない。しかし、ここまで来ると、もう止め処なく流れ出る汗すらも心地良い。
汗と共に、澱の様に溜まっていた日常の鬱憤までもが身体の外へと排出されてゆくような、この感じ。
いわば"心のデトックス"…だから旅は止められないのだ。

…最もこの時、耐え難い程の空腹により新たな鬱憤がどんどん溜まってはいましたけれども!!!

さぁさぁ、そうこうしている内に辿り着いたは建長寺。思ったよりも広そうである。
拝観料を支払い、境内に足を踏み入れる。…仏閣巡りは思ったよりも銭が要るな。


何とは無しに奥の方へと歩きながら、目に入ってきた建物に片っ端から寄ってみる。
この辺りでサザンオールスターズがライブをしたのだろうか。

しかし…よくよく考えてみると、凄い。

何せ、この建物、今より数世紀前には既にこの地に在ったのだ。
数世紀前の人々には、今の世の"この状況"、想像も出来なかったのだろうな。

日本人よりも外人の観光客の方が多いんじゃないかとすら思える"この状況"で、何とは無しにそんな事を漠然と考えながら、体中で"時代の空気"を満喫する。

ゆっくりと、時の流れを視認する。

…さっきから常に俺の少し前を歩く大学生風の兄ちゃんが一人。
俺と同じようにデジカメを片手に写真を撮りながら、ずっと同じルートを進んできた。

時折、此方を気持ち意識しているような素振りを見せている。んー。

…!

こ、これがあの!

強敵と書いて『とも』と読むアレか!←亮と書いてバカと読むみたいなアレね←うるせえよい。

何かちょっと楽しくなって来たので、建長寺そっちのけで少しプレッシャーを与えて見る事にしてみる。早歩きで付け回す事、十数分。

足早で歩く兄ちゃんが石段を軽く踏み外したのを見て急に居た堪れなくなり、名残は惜しかったが此処で強敵と別れる事に。…何をやっているのか俺は。

さて、気付けば随分と奥まった所に立っている。

何故か兄ちゃんが主道らしき道から外れてしまった(間違い無くどっかのバカのせい)ので、付け回している俺も結果的に境内中心部の建物を後回しに脇を固める『何とか庵』とか『かんとか庵』みたいなモノを見て回る事になってしまっていたのだ。

それから、主だった建物を回り、目に付く賽銭箱全てに持ってた小銭を悉く突っ込みまくる。

土佐の賽銭魔とは俺の事じゃーい!

土佐の賽銭魔は直にお願いする事が無くなり、最後の方は半ば本気で世界の平和を祈ってみました。

そうした中で目にする観光客も先に述べた様に圧倒的に外国人の方が多く、下の画像の建物にて"時の流れ"を楽しんだ後にも若いブロンド夫婦と遭遇した。


そのブロンド夫婦の周りには『裸足で木の床へあがる』という状況にテンションが上がったのか、所狭しとはしゃぎ回るブロンドの子供が二人。周りの状況から考えるに、その夫婦の子供なのだろう。

キャッキャとはしゃいで、そして、母国では考えられないであろう(何処の国の出身かはもちろん知らないが笑)有り得ない(日本人的には十分あり得る)段差でズコーンと転んだ。

一転、泣き喚く子供。リアル『Oh〜』なリアクションを取るブロンド夫婦。

その転んだ位置と言うのが俺の直ぐ隣、『まぁ、放っておくのもなんだし…』とついつい助け起こそうとするも、ブロンド旦那より『ノンノン、助けてはダメね〜』的なジェスチャー

そうして始まる応援タイム。泣いている子供への応援タイム。
何故か一緒に応援している俺。成り行きと言うヤツだ。

そうだ、成り行きなのだコレは。

そうで無ければ、この地獄の賽銭魔がそんなハートウォームな事をする筈もないのだ!←そもそも地獄関係者は賽銭なんかしねえ。

そして数分後、口をへの字に結びしっかりと立ち上がったブロンド坊主を中心に巻き起こる拍手。…何だこの空間、と思いつつ共に拍手する俺。

…ホント、何だこの空間。でも、子育て方法としては正解だと思う。

そんなこんなで建長寺も一通り楽しんだので、境内の中央部分に位置する建物の隣にベンチにて何時に北鎌倉駅へ行けばスマートに横浜駅へ移動出来るかを検索してみる事に。

…。

二時過ぎに何本か快速があるようだ。取り敢えず、その便に合わせて動く事に決めた。時間にして、昼の一時前。

しかし何だ、このベンチ、随分と涼しい。三方を山に囲まれた開けた土地の建物の影と言う事もあるのだろうか、風が勢いよく吹き抜けている。

『ちょっと疲れたし、暫く此処で休憩しようか…』

そんな風に思ったその刹那、突如脇より婆の群れが二台しか無いベンチに群がってきた。煩いなんてレベルでは無い煩さだったので休憩終了。

下手に話しかけられる前にその場を後にする。

Cymbals/怒れる小さな茶色い犬

本日の紹介曲は、Cymbalsより『怒れる小さな茶色い犬』。
シンバルズは『土岐麻子』、『沖井礼二』、『矢野博康』からなるスリーピースバンドで、ピチカートファイブフリッパーズギターなどの流れを汲む『ポスト渋谷系』として括られる事が多いらしい。勿論、wiki様情報である。

2003年に解散し、その後はそれぞれソロ活動やプロデューサーとして音楽に携わっている様だ。
因みに、ギターの沖井礼二はあの、あの、『NOVAうさぎの歌』の作曲者でもある。NOVAうさぎ…か苦笑

さて、そんなシンバルズ楽曲の中でも俺が一等好きなのが、この曲、『怒れる小さな茶色い犬』だ。
軽くて、何処かアーバンで、勢いが有って、そして鋭い。兎に角、難しい事など考えずにノれる。

さぁ、この曲に乗せて、次の目的地は円覚寺だ!